たたらの歴史

「包丁」という道具は、どのように生まれ、どのように進化してきたのでしょうか。

モノづくりの原点にまでさかのぼり、
1.鉄の起源
2.人類と刃物
3.日本の包丁
4.たたらの歴史
という4つの流れで見ていきます。

1.鉄の起源

■鉄の惑星

地球って何からできているかご存知ですか。
「水の惑星」と言われるように、表面の多くは水で覆われています。
しかし、地球の内部に目を向けると、一番多い元素は「鉄」なのです。

地球の重量の約35%は鉄が占めています。

地球内部は①コア(内核・外核)②マントル③地殻の3層構造になっています。

中心部の温度は5,500℃という超高温で、鉄やニッケルの固まりと言われています。
(高温なのになぜ固体なのかといえば、圧力が360GPa以上という超高圧だからです)
この固体の内核が地球の“磁場”を生み出し、その磁場が宇宙から降り注ぐ有害な紫外線をブロックして生物の命を守っているそうです。

そう、地球は「鉄の惑星」なのです!

包丁って地球とつながっているのですね。
こちらの動画がとても面白いので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
「地球の中心“コア”への旅」 サイエンスチャンネル (29分)

■地球の誕生から人類の誕生前夜

簡単にですが、地球の誕生から海が生まれ、植物や生物が誕生する流れを追っておきます。

・約46億年前 地球誕生
原始太陽のまわりで微惑星どうしが衝突、合体し大きくなりはじめて、地球の元となる原始惑星が誕生

・38億年前 核・マントル・海・磁場が誕生
生命が出現できる環境が整う

・5億2000万年前 カンブリア大爆発
大陸沿岸の浅い海で、さまざまな生物のグループが短期間に爆発的に出現する

・4億7000万年前 植物の出現

・3億6000万年前 脊椎動物の出現

・2億4000万年前 哺乳類の出現、→恐竜の時代

・6600万年前 恐竜絶滅

・2500万年前 類人猿が木から降りて地上生活をはじめる

2.人類と刃物

いよいよここから、人類と刃物の時代へと入っていきます。
まずは、人と石との関わりから。

■人類の誕生と石

火や刃物がない時代、人類は「生」の食べ物を歯や指でちぎって食べていました。豊富な植物が密生していたアフリカ、東南アジア、中南米の地域は植物性植物、残りの地域はバナナなどの自生植物を食べていました。
火の使用ができるようになった時代では、偶然見つけた動物の死骸や海岸に打ち上げられた魚などを、食べられるようになり、それらの食べを切り裂くために硬い石が使われるようになりました。
今ではイメージしにくいですが、古代の刃物といえば「石」なのです。
ちなみに、日本の遺跡から見つかる刃物も、ほとんどが石だそうです。

■石器の発明

「ヒト」の特徴のひとつは、「道具を作る」ことにあります。猿人→原人→旧人→新人と人類の進化とともに使われた道具は「打製石器」でした。

旧石器時代の指標となる打製石器はまた、礫石器→握斧→剝片石器→石刃と進化していきます。

これが、さらに磨製石器(石斧・石鎌・石包丁)を生み出し、のちの刃物へと発展していくのです。

■人類の誕生から石包丁まで

・700万年前(前期旧石器時代)
人類(初期猿人)がアフリカに登場 (※諸説あり)

・440万年前(前期旧石器時代)
猿人(アウストラロピテクス)が二足歩行をはじめる
⇒打製石器(礫石器※1)の製作

・180万年前(前期旧石器時代)
原人(ジャワ原人や北京原人)が登場。火の使用や言葉の使用がはじまる
⇒打製石器(石核石器※2、握斧※3)の製作

・50万年前(中期旧石器時代)
旧人(ネアンデルタール人など)が登場。肉食が一般化、埋葬の風習がはじまる
⇒打製石器(剝片石器※4)の製作

・20万年前(中期~後期旧石器時代)
新人(ホモ・サピエンス)の登場。

・4~3万年前頃
⇒打製石器の精巧化(石刃※5)
鋭利なフリント石(火打ち石:チャートの一種で非常に硬いが加工しやすい)
黒曜石(天然のガラスで、割れ口は貝殻状)など


(黒曜石の矢じり)

・9000年前(新石器時代)
農耕・牧畜はじまる→生産経済へ 土器の普及、織物(羊毛や麻)の始まり
[磨製石器(石斧・石鎌・石包丁)]

・5000年前「鉄器時代」へ
都市国家の成立、文字の発明、青銅器の使用、職業が分化し階級区分の発生

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※1:礫石器(れきせっき)
自然石の一部を打ち割って作った石器

※2:石核石器(せっかくせっき)
原石(母岩)から剥片を剥がしとったあとにのこった芯材(石核)から作った石器

※3:握斧(あくふ)
石核石器の一種で、ハンドアックスと呼ばれる
石のまわりを全面的に打ち掻いて、手で握るよう整形した石器

※4:剝片石器(はくへんせっき)
石核ではなく、原石から剥がされた石片を利用して作る石器

※5:石刃(せきじん)
石の面に連続して打撃を加え、多量の石刃を剥離させる高度な技術の石器

※6:石包丁
弥生時代、穀類の穂を摘み取るのに用いた石器。
長さ10数センチ、幅数センチで、板状の石を加工した磨製石器で長さは十数センチの半月形をしたものが多い。ひもを通す穴があいている。

参考動画)石包丁による弥生時代の稲刈り(NHK for School より 1分16秒)

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3.日本の包丁

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4.たたらの歴史

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刃物職人

包丁の製造工程は、大きく分けて鍛冶、研ぎ、柄付けの3工程があります。
堺打刃物では、各工程に「鍛冶師」「研ぎ師」「柄付師」といった専門技術を持つ職人がいる分業制が特徴です。
鍛冶師は火の仕事、研ぎ師は水の仕事、柄付師は木の仕事です。

上物師について

堺打刃物は、全国でのシェアは7%程度なのですが、業務用(プロ用)においては90%以上のシェアを誇っています。
特に、和包丁の完成度となる「鍛冶」と「刃付け」の技術力は、他の産地の追随を許しません。
堺刃物の鋼材には、日立金属の安来鋼(ヤスキハガネ)が使われるのですが、安来鋼は純度が高く、加工するのが難しい鋼です。
鋼の純度が高いほど、焼き入れ※の適正温度の範囲が狭いため、「焼き入れ不良」がでやすいのです。
その一方、うまく焼きが入ると、とても切れ味の鋭い、いい包丁に仕上がります。

この安来鋼の中でも、さらに白紙1号2号といった高炭素・高純度の鋼を扱える職人さんは「上物師」と呼ばれます。
彼らが手がける「上物」は、加工も難しく、手を抜けない仕事のため、生産される本数が限られています。
その技術は、堺刃物600年の歴史の結晶なのです!
しかし、そんな上物師さんたちも今はもう僅か数名・・・。

技術を途絶えさせないためには、料理人さんに、その価値をしっかり伝えて、実際に使ってもらうこと。
「上物」は、販売価格で一本10万円以上するけれど、製作工程や技術の高さからすると、決して高くはないはずです。
※焼き入れ・・・鋼に硬度を出す(切れ味を出す)ために、約800度に加熱し、その後、水冷または油冷によって急冷させる作業