最近は接待のニュースが色々と話題になっています。

会社員だった頃には、「大事なことは飲み会で決まる」という場面を何度も経験しました。
包丁の業界に入った時にも、接待で包丁を販売している会社があると聞いて驚いたのを覚えています。

先日、元オリンピック選手の為末大さんが、面白い話をされていました。

一緒に食事をするということは、生物にとってとても意味があることで、本来なら奪い合うものをお互いにシェアし合うという行為は、関係性を作る上でとても重要であるということ。

外交の場面でも、どんな食事が出たかとか、どんなワインが出たかということが各国の関係が仲良くなったり冷え込んだりする目安になるそうです。

もうひとつ。戦国時代の日本では、自分がどの武将についていくかを決める時に、茶室が重要な役割を果たしていたこと。

戦国時代といえば、誰の下につくかは一族郎党の運命に関わることです。
その命運を誰にゆだねるかを判断する時に、茶室で相手がどう振る舞うかを観察したのだそうです。

確かに、親兄弟であっても裏切られることの多い時代です。狭い茶室の中で、同じ畳の上に手が届く近さで座り、静寂の中でともに茶をいただくという場は、相手と関係を築いたり、縁を結んだりするのに最適だったと思われます。公にはできない話も、茶室ならできたのかもしれません。

縁を結ぶといえば、かつてお見合いの場でも、女性側が出した「お茶」を男性側が飲んだら男性側からの結婚OKサイン、その後、女性側から料理が振る舞われたら、女性側からの結婚OKサインであるという習わしがあった、と聞いたことがあります。

時に、国や一族の命運をかけた「接待」。

汚職の場にもなるので、あまりいいイメージではないことも多いですが、

本音と建て前のある日本人にとって、
相手の本心を見極め、縁を結び、関係性を築いたりするための場として、
なくてはならなかったのかもしれません。

そして、料理やお茶は、
人と人との縁を結ぶ媒介としての重要な役割をはたしていたのですね。