宮古島ブームの裏側に迫る!なぜ今、宮古島が注目されているのか?
2024年に入って何度か出会ったキーワードが、“宮古島“。
いま観光産業が急成長して注目されている島です。
私のお客様の中でも、オーナーさんが鮨店を出店されました。
宮古島は、東京から約2000km、沖縄本島から約300kmの位置にあり、大小6つの島(宮古島、池間島、来間島、伊良部島、下地島、大神島)で構成されています。
魅力は、「宮古ブルー」とも呼ばれる碧い海!
宮古島は一周すると約100kmほどで、車で3〜4時間で回れるサイズ感。白い砂浜のビーチと観光スポットが点在していて、トライアスロンやダイビングスポットとしても有名です。
リゾートとしてのはじまりは、1984年に東急ホテルが開業、また、1986年には、ユニマットグループの創業者である高橋洋二氏がリゾートとして目をつけて開発し、1993年に「シギラリゾート」を開業しました。その後も、森トラストが参入しています。
2017年頃からは「プチバブル」と呼ばれ、芸能人や富裕層の方の移住や滞在先としても注目されています。
そんな宮古島ブームの裏側を簡単にまとめてみました。
交通インフラと高級ホテルの建設ラッシュ
宮古島ブームの背景には、交通インフラが整備されたことがあります。
●東京、大阪、中部、福岡などの主要空港から直行便の運行
→2023年には東京↔︎宮古島の直行便が増便
●2015年、大型クルーズ船の寄港
→東アジア(中国大陸、香港、台湾など)など海外からの大型クルーズ船が寄港
●2019年、下地島空港に国際線が就航
→「みやこ下地島空港ターミナル」が開業し、アジア各国からの定期便やチャーター便が就航。
観光客数は、新型コロナ前の19年度には、14年度の2.5倍の106万人に伸び、その後コロナの影響で下がりましたが、2023年度には再び100万人超えも予想されています。
相次ぐリゾートホテルの建設
観光客誘致に合わせて、海外富裕層をターゲットにした高級ホテルの建設ラッシュも続いています。
●2019年 伊良部島「イラフSUIラグジュアリーコレクションホテル」開業(全58室)
森トラストとマリオット・インターナショナルによるダブルブランドホテル。
●2023.7 伊良部島「アルカディアリゾート宮古島」開業 (全14室)
海を望むスイートルームの料金は1泊なんと280万円!!
廉価なプランも1人10万円台で、夏場は満室に近い稼働率
●2023.8 宮古島「ヒルトン沖縄宮古島リゾート」開業(329室)
三菱地所と鹿島がホテルを開発し、ヒルトンが運営
宮古島と伊良部島を結ぶ海上の伊良部大橋を見渡せるロケーション
●2024年 宮古島「ローズウッド宮古島」オープン予定(55棟)
香港を拠点とするローズウッドホテルズ&リゾーツが、物件を所有する三菱地所と運営受託契約を結ぶ。
一泊10万円超
●2026年春 新ホテル「キャノピー(byヒルトン)」(310室)オープン予定
ヒルトン沖縄宮古島に隣接したブティックホテル(地域密着のライフスタイルブランド)。
宮古島市の宿泊施設軒数は2022年までの10年間で約2.5倍の450軒超に増加し、現在まだまだ増え続けているそうです。観光施設・宿泊施設はもちろん、飲食施設についても、急増する観光客を受け入れるための準備が進められています。
「人」不足と「家」不足
一方で、好調な経済を支える人材が不足していて、宮古島の有効求人倍率はここ数年1.2〜2倍程度で推移しています。
そして今、「人」よりも深刻な足りないのが「家」です。
島の外からの投資マネーが流れてきて、家賃が急上昇、ワンルーム賃貸の相場が3〜5万円台から7万円台へと跳ね上がったそうです。農地から宅地への転用も進んでいるけれど、それでも供給が追いつかない状態。
地価も異常な高騰が続き、宮古島市(人口約5万5千人)は、 2023年の地下上昇率が全国市町村のトップとなりました、
空港のある下地島と宮古島を繋いでいる伊良部島の海岸線は、ほぼ県外の企業に買い占められています。
沖縄本島でも大規模施設が続々と!
宮古島のほか、沖縄本島も注目の動きが目白押しです。
新テーマパーク「ジャングリア」の開業を控える沖縄本島北部地区や、那覇の新都心・小禄地区などが舞台となっています。
2027年には恩納村に「フォーシーズンズ・リゾート・アンドプライベート・レジデンス(仮)」が開業予定、2029年には、東海岸エリアの中城湾港マリンタウン地区(与那原から西原にかけての地区)に、14.5ヘクタールの大型MICE施設が計画されています。
(※「MICE」って何?って感じですが、MICE(マイス)とは、M=ミーティング、I=インセンティブ旅行、C=コンベンンション、E=エキシビジョンを合わせた造語で、企業等の会議や研修旅行、国際機関や学会などの国際会議、展示会、見本市などといったビジネスイベントが開催される施設のことです)
有事の際の備えも始まる
華やかな動きの裏では、台湾有事に備え、民間が使う空港や港を自衛隊や海上保安庁が使いやすくするための改修計画が始まっています。
有事の際には巻き込まれることが懸念される沖縄の島々。
滑走路の延長などで大型機の離着陸が可能になれば、「災害時の住民の避難に輸送できる人が増やせる」といった利点もあれば、「有事の際に攻撃対象になる可能性もある」という慎重論も出ています。
さいごに
宮古島のもともとの産業であったサトウキビだけでは成り立たず、観光でたくさんのお金が落ちることは利便性も良くなり住民にとっては歓迎すべきこと。その一方で、リゾート開発という名の自然環境や生態系の破壊、島民の暮らしへの弊害も起こります。長い目で見た時に、宮古島がどうなっていくのか、今後も注目していきたいと思います。
以上、2024年現在の宮古島ブームの背景を簡単にまとめてみました。